「留学生から見た外国人労働者②
ミャンマー人留学生が見たミャンマー人研修生の生活」
前回に引き続き、留学生から見た外国人労働者の実態についてレポートする。
今回は、ミャンマー人留学生のSさん。2年半前に日本に来て、愛知県内の大学で学んでいる。
今年7月前半のある日、「外国人支援する会」の通訳活動で、入国管理局へ出向いた。
今回の依頼人は、ミャンマー人労働者のNさん。Sさんは弁護士とNさんの間の通訳をすることになった。
Sさんは最初、通訳する上で言葉は問題なかったが、すぐに状況が把握できず困ったそうだ。Sさんがそこで聞いたのは、Nさんの強制送還未遂事件についてだったのだ。
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ミャンマーから来たNさんは、製材工場で働いていた。今まで仕事上のトラブルもなく、熱心に働いていたという。
事件が起きたのは6月末日のある日だった。
「朝何の前触れもなく突然、(ミャンマー人研修生を受け入れて会社に紹介する)仲介団体の事務局の日本人が4人来て、Nさんを囲んだそうです。会社の寮の階段に連れていかれて。」
「お前は今すぐ帰れ、荷物をまとめろ、と言い渡されたそうです。その日の分までの給料を渡されて。ビザの期限は8月までだったし、突然帰らなくてはいけない理由が全くわからなかったって。」
驚くNさんを前に、日本人たちは荷物を無理やりにまとめ、Nさんと荷物を車に詰め込んで複数人で囲み、そのまま空港に連れていったという。
日本人たちがすべて手続きを済ませ、Nさんはあわや帰国寸前のところまでいった。
「Nさんは帰りたくないと思い、労働組合で働いている知り合いのAさんに電話をかけたそうです。」
「入管でも、自分のビザはまだ切れていないから帰りたくはないと主張した。でもNさんは日本語が話せないからあまり通じなくて。警察も何人か来て騒ぎになり、結局、もう一度通訳を連れて後日話しに来ることになったんです。」
その後Aさんが紹介してくれた弁護士や労働組合の働きかけもあり、なんとかNさんは会社に戻ることができたのだ。
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このような経緯を経て、Nさんは再度入国管理局へ弁護士とSさんが同行して向かった。
今回の事件の詳細や今の会社の労働環境について説明をする。
「Nさんは、なぜ自分だけ急に帰れと言われたのは全くわからない、強いて言うなら、最近事故で怪我をした同じ会社のミャンマー人研修生の友人の世話をしたり、Aさんを紹介したりしていたので、そういった動きが気に入らなかったのかもしれない、と言っていました。」
「Nさんは会社に対して何かおかしいと思うことがあったら、他の研修生は怖くて黙っている中でも主張するタイプだったようです。」
本当の理由はわからない。実は強制送還事件は以前にもあったそうだ。それはみなが知っており、会社に反発すると自分も同じ目に遭うのではないかと怖れて誰も何も言えなくなっているという。
いずれにせよNさんは8月でビザが切れるため、帰国することになっていた。このまま何も訴えず帰国するという選択肢もあった。
「今後の他の研修生が自分と同じ目に遭わないように。」
Nさんはそういって、弁護士を通して訴える方向に出たという。
今までもらった給料に残業代が含まれていなかったこと、怪我をした研修生がいても無理やり働かされていたことなども弁護士に伝えていた。
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研修生を正当な理由なく強制送還することは明らかに不正行為である。入管は昨年末、『研修生・実習生指針』を発表し、不正行為には厳しく処罰する、としてきた。
しかしである。不正行為が発覚した受け入れ団体は、受け入れ禁止になり、今いる研修生や実習生が研修・実習継続不可能になるため、新たな行き場を探さなければならなくなってしまうのだ。
Sさんは言う。
「ミャンマーから来る研修生のほとんどは借金をして日本に来ている。その上でこちらでも低賃金で働いている。タイムカードをつけているのだから、残業代が払われていないのは気付くはずだけど、日本語ができないことと、強制送還を恐れて会社には何も言えないでいる。法律はきちんと守って雇用してほしいですよね。」
言葉の壁と立場の弱さから意見を言えない、言うと働けなくなる、外に訴えて会社の不正が暴かれると自分たちの行き場を探さなければならない。
日本の労働力を大きく支える外国人労働者の方々のこのような悪循環について、わたしたちの問題として、これから取り組んでいけることは何だろうか。
2008年11月3日月曜日
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